僕のピアノ史(その1)
なぜ両親は息子にピアノを習わせたのだろう。普通の会社員の家庭にはアップライトピアノを買うのも大変だ。高度成長期には良家の子弟はピアノを習う人が多く、たぶん両親は金持ちの生活に憧れただけではないか。
小学校~中学校まで習った。近所の女子大生がバイトで教えてくれた。小学校5年生からまともな先生に習い始めたが、「誰にこんな変な弾き方を習ったの!」と呆れられた。高校でやめた。
月日が経ち、仕事で地方テレビ局のイベントに参加した。ディレクターは小学校で一学年上の女性だった。
「あの時の・・・。ピアノで芸大に進学したと聞きましたが。」
「はい。」 「どうでした?」
「私にはまったく才能が無くて。」 「そんな~」
「いいえ、同級生同士でピアノを弾くと誰がプロになれて誰がなれないのかは最初にわかってしまいます。」 「ええ? ・・・そういう世界なんですか?」
皆で参拝苦杯して一曲弾いてもらった。全員肝を潰した。「3年ぶりの演奏なのでこの程度でご勘弁を」
(同席した中学校の音楽教師が)「これでプロになれないのですか?」
「はい。チャンスはありません。」
「怖ろしい世界ですね・・・」 一同無言。
また月日は流れ、2016年に転勤した。震災で被害を受けたので建物はプレハブだった。ホールにはピアノがあった。前院長が自分の高校の同級生からの寄付で買ってくれたものだ。
ある当直の晩にカーテンを閉めて練習をした。
「おう!誰が弾いてんのや? あっ!失礼しました。」犠牲者多数。意外だったらしい。
次第に持ち前の研究心に火が点いた。
社会の変化に気づく。
1) 楽譜はネットで容易に購入できる。
2) 一流のプロがYouTube で演奏を公開している。
3) プロが練習の仕方を公開している。
4) 演奏チケットもネットで買いやすい。但し人気の人はすぐに無くなる。
また、ピアノに没頭するのは気分転換にもちょうど良い。
電子ピアノを買って公舎で練習。ときどき職場で練習。(電子ピアノだけでは、弾き方や自分の音程が狂う。)
2018年に職場は新築されピアノは新しい部屋に入った。アマチュアの気楽なお楽しみですから演奏レベルにはご容赦を。とは言え分かったことを書き記したい。
(To be continued)